2016年6月26日日曜日

【得意の終了後感想文】 樹をめぐる物語---物語を期待して行ったわけではないけどね―――損保ジャパン日本興亜美術館

「樹木」というモティーフを通して、印象派を中心とするフランス近代風景画の進展を探る展覧会です。
本展覧会はロマン派やバルビゾン派にはじまり、印象派を経てフォーヴまで、「樹木」が風景画の展開にどのような役割を果たしてきたのかを展覧します。絵画の独立した主題として樹木を描き、樹木を介した光と影を追求し、その色や形を絵画の要素としてとらえた画家たちが、「樹木」をどのように描いてきたのか、フランスを中心とする国内外の美術館、ならびに個人所蔵作品から樹木に対する画家たちの想いが込められた作品約110点を展示し、その変遷をたどります。
【美術館HPより】

最終日に駆け込みました。

「樹」がテーマなら、どんな無名画家であろうと、風景画家ではなくても、一度ならずと描くチャンスのある題材でしょう。そこに物語があるかどうかは、鑑賞者次第。

そういう意味で面白い発掘があった展覧会です。

ピサロには四人男の子がいたなんて、残念ながら知らなかったから、次男を除く他の三人の兄弟の絵が勢ぞろいしていたのはなかなか楽しかった。
皆、絵描きとしては巧いけど、挿絵画風の長男以外は、さしたる特徴もなく「お上手」で終わってしまうのは、なんとも残念。偉大な父を持つ子供のジレンマかもなぁーーなんて思ったりもし。
だって、やぱり、お父さんのセーヌ河の橋梁を書き込んだ作品の構図なんて、もう、やはり出色でしたー。

全体を通じて印象的だなぁと思った作品はヴァロットンの《オンフルールの眺め、朝》
凄く構図に惹かれて誰かなーと、近寄ってみたら、ヴァロットンだった。緑の使い方も淡い色から濃い色まで狙ったように使っているのも良いし、明暗のコントラスト、樹のかたち、アブストラクトになる直前のところで止まっている感じも心地いい。

これ一枚だけでも見に来てよかったと思えたので、暑い日差しの中で来てよかった。

ヴァロットン《オンフルールの眺め、朝》 ちらしから