2012年11月12日月曜日

【過去日記 2012/11/12】歴史観が変わっちゃう? 「中国王朝の至宝展」にもブロガー招待会で行ってきた!


近代美術館でのブロガー招待会「美術にぶるっ!」に引き続いて、コチラ「トーハク」(東京国立博物館@上野)で開催中の「中国王朝の至宝展」に行ってまいりました。トーハクは年間パス買ってるので、特別展には行きたければ行けるわけですが、正直言ってあんまり食指がわくテーマではなかったんですね。タイトルからいうと。。最近は結構「鏡」が面白いと感じるようになったので、古い文物でも多少は興味を惹かれることもあるけれど、「王朝っていうから、どうせ、歴史の古い順から並べてるわけでしょ?」みたいに甘くみてたわけなんですよ。

パンフレットだって「4000年の間、中国各地にはいくつもの王朝が誕生し、特色ある豊かな文化が育まれてきました。それらは相互に影響を与えつつ多様な展開をとげ、世界に冠たる中国文化を形成していきました。」「夏から宋の時代にわたる中国歴代の王朝の都・中心地域に焦点をあて、それぞれの地域の特質が凝縮された代表的な文物を対比しながら展示するという新たな手法によって、多元的でダイナミックに展開してきた中国文化の核心に迫ります。」とは書いてはあるんですけどね、でもそれだけではこの対比の意味がわからなかった。

今回の招待会は一時間というきわめて短い時間のうち40分ほど会場内を移動しながらギャラリートーク形式で展覧会の見所を企画担当の松本部長が解説してくれるというもの。なので全部をじっくり見ることはできなかったので、きっちりとはご紹介できないけれど、この解説が目から鱗でした。

今回の企画は「中国の歴史」といったって、歴史の授業で学んだようにあたかも一本道でできたように王朝が入れ替わったわけではないということを判ってもらおうというもの。

考えてみたら、そりゃそうだ。私たちはついつい、秦の次は漢、漢の次は三国が争ったりした後に、隋、唐、宋、元、明、清と続く。。。。っていうイメージをもって中国の歴史を捉えてますよね。(私だけ?)ましてや始皇帝が統一する前の時代は春秋・戦国は勿論、その前は混沌としたイメージだけ。でも、広いあの国土を「ひとつの中国」としたのは、現代を除くと元の頃だけで、他はもっと地域限定だったわけですものね。同時期に違う文明と文化の人たちが今の「中国」の領土を形作っていたんですよね。

 史記などに漢字で記録された国や部族だけが歴史ではない・・しかもイメージする中国の文物とは違う「物」を、しかも精巧に作っていた・・・文字が残っていないので何のために?どのような経緯で?ということはわからない。。でも羽がついた一本足でくちばしを持つ人「形」が蛙のような動物の上に乗っかっている鳳凰のような鳥の上に更に乗っているモノ。。を作っていた「楚」の国の出土品は、この異形のヒトばかりではなく、巨大な、でも精巧な柄が刻まれている「虎座鳳凰架鼓」とか(写真撮ろうとしたけど、反射がひどくてうまく撮れませんでした・・・是非ご自分の目で確認してみてくださいね)。。なんかすごいものがいっぱい。何のために使ったのか想像をめぐらすだけで楽しい。巨大といえば、ちょっと戻って、第一章の蜀についても謎だらけ。「突目仮面」という大きな青銅器も、同じ時期の夏・殷のものとは(展示されているものを見る限り)全然違う巨大さ。一応これは神事に使うものかも。。ということにはなっているし、殷時代に多く見られる青銅器によって刷り込まれている青銅器のイメージもあるので、解説を聞くまでは、殷の国の場合は酒器のような器、蜀の国の場合はこういった常識とは異なる仮面を作っていることが大きな違い・・・なんてわからなかった。その意味でも展示の一番最初に登場するとても小さいけれど純金でできた仮面は、青銅器文化である夏や殷とは違うという特徴的な展示品なのでした。

 この蜀とか楚とかの品々はここ20年くらいで出土したそうです。今までの古代文化に対する認識や常識では考えられない文化の存在がわかったということが大きいということなんですね。だから同時代の二つの地域の文化を対比してみせるという今回の企画に繋がったということなんでしょう。

その後の章については秦と漢の違いとか、北朝と南朝、同じ唐時代の首都 長安と宗教都市であった洛陽、漢民族文化を引き継いだ宋と北方の遼の違いをときおこすというもの。治世そのものはとても短い間だった秦の始皇帝の兵馬俑にみられるようなスケールが大きく、破格さを示しているのに比して400年の長きにわたって王朝が続いた漢は安定期特有の洗練された様式美が形成されていた。。。とかね。本当の魅力はもっとあったのかもしれないけれど解説が駆け足だったこともあり、後半の対決には若干無理があるかなーとも思わないでもないけれど、展示されているもの自体はどれも美しく素晴らしいものが並んでいました。
最後の写真は北宋時代の一枚のレンガに描かれたカラフルな仏様、そのほか最終展示として2008年に発掘され、本邦は勿論中国でも一般公開されていない巨大な仏塔「阿育王搭」は一見の価値ありです。すごいきらきらしてる。

視点を変えて見るということがどれだけ大切かということを教えてくれる展覧会です。12月24日まで。東京国立博物館 平成館 @上野公園

【蜀】突目仮面 フシギな形の巨大な青銅の仮面
【殷】 この地域での典型的な青銅器ー酒器ですね
【楚】これがフシギな羽のついた一本足のヒト?なんどみてもフシギ
【唐】実はこの頃の美人は後代になるにつれマツコDXのようなふくよかーな人だとか。。楊貴妃のイメージが変わる。。

2012年11月8日木曜日

【過去日記 2012/11/8】 美術にぶるっ!=東京近代博物館で絶賛開催中・・・・・FBやってるおかげでブロガー扱い=ブロガー向け内覧会にいってきたーの巻



美術にふるえたことがありますか?

美術を体験すること。
深く感動すること。
知的に考えること。
それらすべての出発である衝撃を「ぶるっ!」という言葉でひょうしました。
あらためて大切にしたいと思う美術鑑賞の原点です

。。。。。。。。。。


・・という解説から始まった約20分弱のミニレクチャー、図録、招待券一枚、音声ガイド、写真撮影OK(但し一点のみはNG)、しかも夜6時半から9時まで!というどんだけGenerousなんだ?という東京国立近代美術館(MOMAT)開館60周年記念展覧会「美術にぶるっ!」のブロガー向け夜間特別観覧会に行って来ましたー。(ツイッターとFBやってる人もブロガー扱いしてくれるので、行けたのです。サンキュ) 昨日のこと。今日は今日でトーハクの中国王朝の至宝展ーーこれも担当部長さんの解説のおかげで、面白さ100倍。。それはまた後日ご報告するとして。。。今日は美術にぶるっ!(ビックリマークは斜めってます。)

みどころは
1 所蔵品ギャラリーが10年ぶりにリニューアル
「近代美術の流れ」としていた常設展示を「MOMATコレクション」に改称し
①ハイライトコーナーと②日本画コーナーの誕生というより分離)、もっと展示室を細分化し
壁紙を一部紺色に、休憩コーナーはオレンジの床色にして(3階にあった資料コーナーを



名前を変えた「眺めのよい部屋」部分の導入部に移設

2 寄託作品を含む重要文化財13点(日本の重要文化財は全部で51点中)一挙に公開

3 1階(第二部)実験場 1950's展との連動(連続性)
時の流れは①MOMATコレクションの「戦争の世紀に1・2」(これも大きな部屋の一部だったものが独立してる)から②戦争が終わり、サンフランシスコ講和条約を日本が結び漸く日本が独立国としての自尊心を取り戻した1952年(そして、同年に近美=MOMATは開館)を含む50年代、戦争の傷跡・基地闘争などが混沌とした1950年代はジャンルの垣根を越え作家と鑑賞者が交流する「場」が存在した。
そこから革新的な表現がうまれた、との認識により実験場と名づけた「実験場1950s展」へ
そして更に時代は、60年代70年代となり再びMOMATコレクションの「疑うこと、信じること」へと続いていく。
しかし、近代美術館の役割は近代美術史の研究としてこの時代を単に回顧するのではなく「現代の文化や社会を批判的に考察し新しい価値創出に向けた問題提起を行うこと」、と位置づけ。

短いながらもコンパクトにまとまったミニレクチャーを聞かなかったら第二部との連携に篭めるキュレーター/主催者の思いと熱意を理解することは難しかったかもしれないので、本当に昨日の内覧会はレクチャーを聴いて更によかった!と思えるものでした。

コレクションの名品が一堂に会しながらも「名品展」ではない!と言い切るあたりも、そのリニューアルの成果を感じることに繋がってよかったなぁ。

絵の並べ併せ方の問題だけ。。かもしれないけれど、今までどうしても好きになれなかった原田直次郎の「騎龍観音」が、萬鉄五郎の「裸体美人」と隣り合わせになり、背景の壁紙の色が紺色になっただけで、以前とほぼ同じ位置にかかっているにもかかわらず、かなり魅力的に写ったわけで。。⇒
もともと好きな劉生の「切通之写生」の隣に、タッチは全く違うし対称的でもないのだけど、同じように下から上へのカーブを持つ絵がかけられたりしていて(作品名確認しわすれたー!泣)、絵を鑑賞することの楽しさを再確認できる展示の工夫が以前にも増してなされるようになったという感じ。⇒

未だにあのガラスのケースに入って展示されている屏風絵などの扱いが変わらないのは残念だけど、ガラスのケースから飛び出してきた絵たちの生き生きとしたこと!小倉遊亀の「欲女 その1」がこんなに大きな作品だったんだと再認識させられた


のも、日本画フロアを分離した・・・というか、再構成して一部は4階同様紺の壁紙の効果ー上村松園の「母子」とかねーが上がっている感じ。



改装を担当された方たちの思いが伝わってきましたよ。

思いの強さという意味では、第二部は咀嚼するには、置いてある資料も含め、相当な時間をかける必要があるのではないか?と思ってしまうけれど、「現代の文化や社会を批判的に考察し新しい価値創出に向けた問題提起を行うこと」を単純化していくと。。。
第一部の原爆の刻印ーーその被害が公にされたのはMOMAT開館の1952年



つまり7年もの間、真の被害状況を人々は知らされていなかったーー翻ってフクシマはどうなの?7年の歳月を要するのかという暗喩

・・同じく砂川事件

ーー場所を変えて基地への反対は今も続くー

現代への連続性?東山魁夷の道が東北の地に題材をとられたところ




からスタートし50年代の国土開発で失われていく東北地方の原風景への思い?

まっ、全く違うかもしれないけれど、こんなことを考える自由をあたえてくれるのも主催者の狙いかもしれないし、メッセージなのか?などと考えながら鑑賞していると
あっという間に9時に!

限られた鑑賞時間ではムリーと思ったわけですね。ま、時間がたっぷりあっても現代美術の解釈は難しいことが多いからね、それぞれのコーナーでもらった4枚の解説の紙を後でもう一度読んでから、出直してきます!

さて、そんな中でちょっと気になった(・・・というか初めてみて好きになった)・・・いやいや、昨日の内覧会一「ぶるっ!」と来た作品はコチラ。⇒

福沢一郎の「牛」 ピンク色の大地と穴のあいた牛(黒の模様。。。ではなく穴があいて空洞)。。
このなんともシュールな絵は「戦争の世紀に1」のコーナーにかかっていました。戦争への序章ともいうべき満州国の理想と現実のギャップを描いたんだそうな。。

いやいや、500点超という今回の展覧会、レクチャー始まる前は今日は二時間もあるから十分あると思うかもしれないけれど、メリハリつけないと時間が足りなくなりますよ、とご説明いただいた主任研究員の鈴木さんのウォーニング通り、ホント、時間がいくらあってもたりないくらいでした。
今まで何度も見ている好きな絵が多いし・・・と思っていたんだけどなぁー。
やっぱり展示の方法が変わるだけで、今まで気付かなかった魅力がまた新たに発見できる。。ホント美術鑑賞ってつきることはないよなー。。。

もう一度行きます、絶対。 12月1日も開館60周年で入れるようだし、あと2回みようかな。。

2012年10月16日~2013年1月14日@東京国立近代美術館 「美術にぶるっ!」ーベストセレクション 日本近代美術の100年



最後のおまけ:その新たな発見。。


頭の上にバッタなんかのってましたっけ?ゴームリーの「反映」って。。

(次に行ったときにヤッパリ、バッタは乗ってなかった。。。。)

2012年10月20日土曜日

【過去を振り返る】2012年10月20日 竹内栖鳳展のブロガー内覧会にも行ってきた

青い日記帳の中村さんのツイートで、今度は山種美術館の竹内栖鳳展の内覧会にいってきた時のツイートのまとめです。

大好きな栖鳳展でしたので、大変ありがたかったです。とはいえ、次の予定があって、予定されていた交流会に参加することもできなかったし、何より慌てていて、ハッシュタグがうまく機能してなかったりで、年寄りの冷や水状態でした。。。汗


#栖鳳展 @山種内覧会(写真ok頂いてます) 斑(漢字違うが)猫、いつ見ても、ウットリさせられるな~♪金泥使ったつややかな毛並みやモデルの猫ちゃんより濃いエメラルドグリーンの瞳、有り得ない反り返り等全て計算し尽くされてるposted at 18:54:52


photo by rosewine
脇にモデルとなったネコちゃんの写真が添えてありますが、栖鳳のネコのほうがはるかに魅力的なのは、そのあり得ない姿態のせいでしょうね。お目目がエメラルドグリーンで、そのアップも撮ってありますが、どうも反射が気になって、うまく撮影できてないんだなー。瞳の中に金泥のきらめきがあるんですが、それがねぇ。。。
photo by rose wine

#栖鳳内覧会(写真ok頂いてます)旨く撮れなかったけど、エメラルドグリーンというと、最も好きな作品緑池、透き通った水面に泳ぐ蛙、これも金泥地が美しいの!posted at 18:58:59

photo by rose wine 
《斑猫》もそうですが、この《緑池》についても以前も写真あげてますが、以前は山種で買った絵葉書を接写してるけど、今度は実写。でも残念ながら、私の腕では微妙に反射するケースの中を撮るのは難しかったー。これも反射している部分をトリミングしてようやくこんな感じ。。


#栖鳳内覧会 (写真ok頂いてます)ここに右京さんが?いや、今日じゃないけど(笑)posted at 19:02:16


photo by rose wine
テレビドラマの「相棒」の今シーズン=第11シーズンの第一回目に、主演の水谷豊扮する杉下右京警部がこの場所でヒミツの会話をするんですよね。成宮寛貴演ずる新相棒甲斐君のお父上であり警察庁次長役の石坂浩二さんと。。ま、栖鳳的にはまったく無関係なわけですが。。。すんません。でも、直後だったからちょっとね

#栖鳳 ところで内覧会 にいらしていた一部のみなさん、館長の解説の時にパシャパシャ撮るのは止めて欲しかった!ルールは守ろうよ、せっかくの良い解説に集中出来なかったわ!posted at 19:09:54

私が気が散りやすいタイプということもあって、一般的にも、展覧会の会場で無関係の事を話しているおばちゃんとか、うるさいひとがいるとダメなんですが、美術好きが集まっているはずなのに、こういうことされると腹がたってしまって、一生懸命ツイートしてみたのです。が、しかーし、ハッシュタグ栖鳳と、ところで。。。の間に空白がなかったために、正しくハッシュタグにリンクされていなかった。。。ガックシ。

その場ではつぶやけなかったけれど、その時の山崎館長のお話や感想を追記したいと思っているのですが、いつの日になるやら。。



2012年8月22日水曜日

【過去日記 2012/8/22】青い日記帳Xレーピン展 『ブロガー・スペシャルナイト』に参戦♪


朝からつぶやいてましたが。。。ブロガーではないんだけれど、FBやTwitterやっているということであれば良いということで、BUNKAMURAで開催中のレーピン展の魅力を教えてくれる座談会が組み込まれた「青い日記帳Xレーピン展『ブロガー・スペシャルナイト』」というイベントに行ってきました。

青い日記帳というのは美術好きな人の中では有名なブログでhttp://bluediary2.jugem.jp/
フェルメール好きが講じて今や、本も出されている中村さんのブログです。

彼のツイートでイベントを知って申し込んでおいたわけです。レーピンなんて殆ど知らなかったし、面白いお話が沢山聞けて、写真も作品そのものはダメですけど会場風景なら撮ることができるイベントでした。


で、レービンさん、帝政ロシアから革命後までその80余年の人生を生きたそうですが、ムソルグスキーが死ぬ10日前に3日で肖像画をさらさらっと描きあげていたり、


レンブラントの放蕩息子を意識し、時代背景の革命に翻弄される家族を題材にした、構図を練りに練ったストーリーが展開されている作品があったりと、なかなか見ごたえがあります。


戦前は日本でもトルストイブームというのがあって、そのトルストイとの親交があって肖像画も手がけていたせいで、日本でもちょっとは知られていたそうで、革命後、餓死したというデマも流れたとか。。。なんかすごい話ですよね。。


いつもは結構混んでいるbunkamura the museumですが、一応10月8日までの時間がありますけど、今回は空いているそうですから、今のうちが見るチャンスかもしれません。この後浜松市美術館(10/16-12/24)⇒姫路市立美術館(2/16-3/20)と巡回した後神奈川県立近代美術館の葉山館に(来年の4月6日から5月26日)戻ってくるそうですから、東京近辺の人は行くチャンス多くていいですよね。っつことで、お約束の宣伝もちょっぴり。(笑)




2012年6月8日金曜日

【過去日記 2012/6/8】 ジョコンダがいっぱいいたよ

BUNKAMURAで3月31日から開催されている「レオナルド・ダ・ヴィンチー美の理想」

http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/12_davinci/index.html

の招待券を頂いたのは開催前だったのに、なんちゃって外交やら、連休の旅行やらで 限られた時間のやりくりがなかなか出来ず、またまた会期終了目前になって滑り込みました。
券を買う人の行列、券を持って入場する人の行列をみた瞬間、あーーあ、またやっちゃった、とハンセイしたけど、まぁ仕方なし。

勉強不足で今回の目玉はパルマにある「ほつれ髪の女」・・・だけだと思ってて、見たことのないその絵を見たんだけど、会場巡って、ルーブルにある「岩窟の聖母」とロンドンナショナルギャラリーの第二版と言われるガブリエルの指指しがない「岩窟の聖母」との間に描かれたと言われる個人蔵の「岩窟の聖母」が展示されることも目玉のひとつだったんですねぇ。。
展示されていたのはルーブルにほぼ近い構図・・でもガブリエルの下にいるヨハネの顔はどっちかというとロンドンのに似てるなぁ。。ってか板に描いてあったのを修復してキャンバスに載せる・・・ってどういうこと?
その疑問には答えてくれないキラキラしてまるで昨日描いたような「岩窟の聖母」は 期待していなかっただけに喜ばしい出会いでした。

ほつれ髪の女は写真でみるより、よかったな。。

で、後半は。。。あらま、びっくり、ホンモノ以外のモナリザがいーーっぱい。
時代が下ってピカソとかの時代になれば、明らかに名画を題材に自分の作品を作りあげる意志をもって描いたわけだけど
16世紀頃は、まだ単なる模写だったんだろうなー、ここに展示されてる沢山のジョコンダたちは。向きが逆のだったり、額がやたら広いお嬢さんだったり、、、微妙だけど、ま、面白いといえば面白い意欲的な企画ということで・・・

さて、明日はどこに行くかな・・・

2012年4月23日月曜日

【過去日記 2012/4/23】寝てもさめても カキツバターーー100年ぶりの再会に立ち会う

昨日から始まった根津美術館のKorin展に、行ってまいりました。
100年ぶりに再会したのは、根津美術館の「燕子花図屏風」とメトロポリタン美術館の「八橋図屏風」。
それぞれ別々に観たことはあるけれど、並列して展示されたのを見たことはなかったわけで、この再会の機会が訪れる予定だった昨年の春先を楽しみにして待っていたのですけど。311の後にメトロポリタン美術館からの「八橋図」の渡航が停止してしまいお預けに。
そんなわけで張り切って初日に出かけたというわけで。。
根津美術館はもともと大きな特集の企画展示は1階の展示室1のみで、続いている2は関連展示の時が多いのだけど、それでもたいてい数がそれなりにあるわけですね。
しかし、普段すだれのようなもので途中を仕切って、展示面を仕切ってありますが、今回ばかりは全て取っ払った広い空間の真ん中に「燕子花図屏風」と「八橋図屏風」が陳列されている以外は8作品のみ。そのうち今回のカキツバタや八橋で連想される「伊勢物語八橋図」と掛け軸仕立てになっている「燕子花図」が含まれていますから、とても優雅で豪華な展示です。

前回根津のリニューアルオープンの時に拝見した時は、箔がこすれて落ちていてあまり状態がよくないことが気になったりしていて、メトロポリタンの方がきれいかなと思っていたのだけど、今回は、最初に見た時は、自由闊達さにおいて、「燕子花図屏風」のほうが躍動感があるかな。。と思ったんですね。
でも、観ているうちに、そう感じたのは「燕子花図屏風」のカキツバタの方がパターン化した花の大きさが大きいし、色も比較的均一ということが、そう思わせていたことに気付きました。同じ幅と大きさのの六曲一双の中に八橋も描かれている10年後くらいに描いたといわれている八橋図に描かれているカキツバタのほうが少し小ぶりだし、色も均一でないように見えたのですね。
実際に、専門家によれば技法も違うようだけど、実物を前にすると何かが違う。。。
それで、何度も正面ばかりでなく、色々な角度から眺めていくうちに、八橋の存在が画面をシャープにしているし、逆に動きがあるように見えてくるように。。。
同じパターンで描かれているようだけど、微妙に違う・・・これが面白いところなのかもしれません。
でも惜しいな・・と思うことは展示の仕方かな。

私の記憶によれば、メトロポリタンで展示していた時(私もMMAにはどんだけ足を運んだかしれないけれど、MMAで観たことがあるのは一度だけ)はもっと屏風の位置が低く、上からのスポットライトに当てられた金箔地の中からカキツバタが浮き上がって見えるように展示されていた。それが印象的な記憶だったんですよねー。記憶違いかもしれないけれど。

本来湿地のような場所に生えているカキツバタの位置を考えると、目線を上にして観るより、少なくとも屏風の立てられている位置は畳の場所からにしてほしいなぁー。まぁ、これは日本のどこの美術館の展示にも言えることですから、八橋だけの問題ではないんですけどね。

目線がもう少し低いと、本来の光琳の意図が見えるように思うのは私だけかしら。

http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html


Eight Planked Bridge by Korin Ogata 八橋図屏風 尾形光琳 @ MMA New York


Iris laevigata by Korin Ogata 燕子花図屏風 尾形光琳 @ Nezu Tokyo


おまけ情報: 根津美術館の年間パスがこの夏から変わるそうです・・といっても皆興味あるかどうかですが。今までは4千円/年で 一回ごとに200円引きだったのが 一気に8千円になって、いつでも入館OK こういう方式の美術館増えていますね。頭でとって経営安定化・・・はわかるんだが。。色んなところに行く私としては同じ展覧会を二回以上見るのは結構限られてしまうんですけどねぇ・・・・

2012年3月25日日曜日

すんごい寒かった思い出ーーー2012六本木アートナイト



昨日は昼は懐かしい人たちとのフレンチランチ、夜は食べ仲間とのギリシャ料理、その前後に美術館と忙しかったけど、更に日没から今朝の日の出をコアタイムとした六本木アートナイトに行ってきました。
国立新美術館は野田裕示の展覧会(結構好き)がタダ、深夜を過ぎた森美術館のイ・ブル展(朝鮮人参のオバケみたいなグロテスクな作品が多いけど。。)は1000円になったり、サントリーも500円にディスカウント、とお得な上、パブリック作品も見られるし、スタンプ集めると草間弥生のデザインのマフラーもらえるとお得尽くしなので、ひとつだけ、皆で女川町の仮説住宅エリアにできる商店街用のベンチ作成プロジェクトに参加して、多少の貢献、いや学生さんたちの足をひっぱりながら、ベンチを作りました。いつか女川に自分達の作品見に行きたいですね

お互い知らない人同士、手を合わせてひとつのベンチを作った満足感で笑顔ですね。私のしているのが、スタンプラリーでゲットしたヤヨイマフラー。一応ヤヨイさんに敬意を表して水玉模様のコートです — at 六本木ヒルズ Ropponngi Hills.

2012年1月12日木曜日

【過去日記 2012/1/12】フェルメール展@BUNKAMURAの愉しみ方・・・・・私の場合

ギリシャで「また」ピカソの絵を含む絵画が盗難に遭いましたね。http://www.asahi.com/international/update/0110/TKY201201100061.html
一部では国の財政危機が影響しているんではないかなどとのツイートを見かけるけれど、本当にそうかしら?警備員の数を減らしているなら多少影響あるかもしれないけれど、昔から絵画の盗難って結構多いわけで、昨年だって、パリの市立美術館で盗まれていますね。

http://www.47news.jp/CN/201110/CN2011100201000035.html

犯人は捕まっても、絵画が出てこないというケースは、これまた多くて、中には「隠し場所を忘れた」犯人が亡くなってしまって永遠に出てこないなーんて事も。



翻って、フェルメールのたった35前後(真贋が論争されていたりするんで、展覧会毎に監修者が違い、36枚とカウントしていても、中身が異なり、2-3枚が出入りしていますよね。)の中にも20年くらい前にボストンで盗難に遭って以来「合奏」という一枚が未だに見つかっていません。ピカソの作品の数といえば約15万点といわれていますから、盗難に遭遇してしまう可能性も高いわけですけど、フェルメールはその4千数百分の一の35点前後しかないのに、第二次世界大戦中ナチス軍に接収・・盗難というより強奪されたことがある絵が2枚(画家志望だったヒトラーに捧げる目的だった等とまことしやかに言われていますね。)、そして真の盗難に遭った絵は3枚、しかもそのうち1枚は二回も!という受難ぶり。数が少ない事による貴重性の評価が高いから・・という事が主たる原因と言われているけれど、そんな来歴のある絵を未だに鑑賞することができる、というのは本当に「運の良いこと」じゃないか、とさえ考えてしまいます。



現在、渋谷のBUNKAMURAで開催されているフェルメール展。その目玉は修復後最初のお目見えとなる「青い衣の女」で、修復直前で状態の悪い時にアムステルダムで見ていた私としては、その違いがかなり鮮明で楽しいけれど、初めて見る人にとっては、フェルメールの作品という以外「別に」それほど言われる程の感動はないのではないかと思います。勿論、会場で上映されているハイビジョン画像の解説を見て「ふーん、そういうことだったのかぁ」・・という気持ちになって、もう一度戻ってみようかな、という気になるかもしれないし、手紙というテーマと17世紀という時代に思いを馳せるという意味でも小規模ながら、なかなか良いテーマの展覧会だとは思います。



でも、もう一つ「盗難」というポイントに目を向けると、添えられた解説がなされていることの大切さが分かるので、これから行こうかしら、という人も、もう見ちゃったわという人にも御紹介。



「青い衣の女」の左側に今回二度目の来日となる「手紙を書く女と召使い」の絵がかかっていますよね。実はこの絵が二度の盗難という過酷な運命に遭遇しながらも、今ここに輝きを放ちながら私達に感動を与えてくれる貴重な絵なのです。



一度目は1974年の4月。丁度その一ヶ月前に英国で「ギターを弾く女」が北アイルランド解放軍(IRA)によって盗まれ、この絵を燃やさない条件として逮捕されている活動家の引渡を要求され、その解決に向け英国政府が奪回作戦を練っている最中に、この「手紙を書く女と召使い」の絵が盗まれるという事件が起きました。同じようにIRAを支持するグループの犯行で、「ギターを弾く女」と前後して、テロに屈しなかった英国政府や関係者が取り戻しに成功した、という話も毅然とした態度で感動的ではあるのですが、その時、今はきらきらと白い光が艶めいている主人である女性の右袖上部からタペストリーに到る長さ28センチの深い傷ができてしまったそうです



その他の浅い傷等もあった為、「青い衣の女」同様、古いニスを剥がして傷を修復したそうなんですが、その時初めて今回の展覧会の重要テーマである手紙の赤い封蝋が出現した訳なんですね。この悲惨な事件がなければ今回の展覧会の企画は実現しなかった・・とまでは言わないまでも、感慨深い。そして床に落ちている手紙が女主人の書き損じなのか、今回の解説のように、女主人が憤りを沈めなくてはならないほどの内容の手紙を受け取って、投げ捨てたと解釈するかの論争が研究者達の間で始まった・・・。2008年に東京都美術館での展覧会では、書き損じの手紙を投げ捨てたとの解説だったように記憶するだけに、オーディオガイド聴いた時にあれっ?って思ったりもし・・・



その論争の結論はともかく、折角修復されて戻ってきたというのに、二回目はそれから干支が一回りした1986年にまたしても盗難の憂き目に。今度の犯人はさしずめ実在のルパン三世といったところの大泥棒マーティン・カーヒルとその一味なのでIRAのテロとは無関係。でも何故かIRAとは切り離すことはできず、カーヒルがこの絵を売り捌く為にカトリック系のIRAとは異なるプロテスタント系に接触したが為に、IRAの恨みを買って、その後暗殺されてしまうその一代記はTheGeneralという映画にもなってカンヌ映画祭で監督賞まで取ってしまうというおまけつき。



こういった周辺物語が色々あって、そんなことを思い巡らせ鑑賞すると飽きないんですよね。



おっと、もうひとつ、74年の盗難時は1ヶ月ちょっとで戻ったけれど、二回目は93年まで見つからなかったのですが、戻ってきて再度修復が行われた時に女主人の左目に針で突いたような穴がある事が確認されました。この確認がきっかけで、フェルメールの「カメラオブスキュラを使った透視画法」が立証されたと言われているのもフェルメールファンとしてはいとをかし・・なのであります。



どうです?たった1枚の絵にもこんな物語があると思うとワクワクしちゃいませんか?ただでさえ、その光と構図が人の心を捉え易いフェルメール、いや少なくとも私は魅了されて、展示されているところには何度でも足を運ぶ、フェルメールバカなもんで、力はいって長文になっちゃいました。あは。、



【注:これらの情報は主として研究者の朽木ゆり子さんの「盗まれたフェルメール」にお頼りしています。】


DelftのVermeer Centerに展示されていたVermeerの使ったであろうウルトラマリンなどの顔料
photo by Pikachan all rights reseved