2012年4月23日月曜日

【過去日記 2012/4/23】寝てもさめても カキツバターーー100年ぶりの再会に立ち会う

昨日から始まった根津美術館のKorin展に、行ってまいりました。
100年ぶりに再会したのは、根津美術館の「燕子花図屏風」とメトロポリタン美術館の「八橋図屏風」。
それぞれ別々に観たことはあるけれど、並列して展示されたのを見たことはなかったわけで、この再会の機会が訪れる予定だった昨年の春先を楽しみにして待っていたのですけど。311の後にメトロポリタン美術館からの「八橋図」の渡航が停止してしまいお預けに。
そんなわけで張り切って初日に出かけたというわけで。。
根津美術館はもともと大きな特集の企画展示は1階の展示室1のみで、続いている2は関連展示の時が多いのだけど、それでもたいてい数がそれなりにあるわけですね。
しかし、普段すだれのようなもので途中を仕切って、展示面を仕切ってありますが、今回ばかりは全て取っ払った広い空間の真ん中に「燕子花図屏風」と「八橋図屏風」が陳列されている以外は8作品のみ。そのうち今回のカキツバタや八橋で連想される「伊勢物語八橋図」と掛け軸仕立てになっている「燕子花図」が含まれていますから、とても優雅で豪華な展示です。

前回根津のリニューアルオープンの時に拝見した時は、箔がこすれて落ちていてあまり状態がよくないことが気になったりしていて、メトロポリタンの方がきれいかなと思っていたのだけど、今回は、最初に見た時は、自由闊達さにおいて、「燕子花図屏風」のほうが躍動感があるかな。。と思ったんですね。
でも、観ているうちに、そう感じたのは「燕子花図屏風」のカキツバタの方がパターン化した花の大きさが大きいし、色も比較的均一ということが、そう思わせていたことに気付きました。同じ幅と大きさのの六曲一双の中に八橋も描かれている10年後くらいに描いたといわれている八橋図に描かれているカキツバタのほうが少し小ぶりだし、色も均一でないように見えたのですね。
実際に、専門家によれば技法も違うようだけど、実物を前にすると何かが違う。。。
それで、何度も正面ばかりでなく、色々な角度から眺めていくうちに、八橋の存在が画面をシャープにしているし、逆に動きがあるように見えてくるように。。。
同じパターンで描かれているようだけど、微妙に違う・・・これが面白いところなのかもしれません。
でも惜しいな・・と思うことは展示の仕方かな。

私の記憶によれば、メトロポリタンで展示していた時(私もMMAにはどんだけ足を運んだかしれないけれど、MMAで観たことがあるのは一度だけ)はもっと屏風の位置が低く、上からのスポットライトに当てられた金箔地の中からカキツバタが浮き上がって見えるように展示されていた。それが印象的な記憶だったんですよねー。記憶違いかもしれないけれど。

本来湿地のような場所に生えているカキツバタの位置を考えると、目線を上にして観るより、少なくとも屏風の立てられている位置は畳の場所からにしてほしいなぁー。まぁ、これは日本のどこの美術館の展示にも言えることですから、八橋だけの問題ではないんですけどね。

目線がもう少し低いと、本来の光琳の意図が見えるように思うのは私だけかしら。

http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html


Eight Planked Bridge by Korin Ogata 八橋図屏風 尾形光琳 @ MMA New York


Iris laevigata by Korin Ogata 燕子花図屏風 尾形光琳 @ Nezu Tokyo


おまけ情報: 根津美術館の年間パスがこの夏から変わるそうです・・といっても皆興味あるかどうかですが。今までは4千円/年で 一回ごとに200円引きだったのが 一気に8千円になって、いつでも入館OK こういう方式の美術館増えていますね。頭でとって経営安定化・・・はわかるんだが。。色んなところに行く私としては同じ展覧会を二回以上見るのは結構限られてしまうんですけどねぇ・・・・