2015年2月22日日曜日

平成の大修理は大胆だけど………。国宝 檜図屏風@東京国立博物館



トーハクの、国宝展示室で、17日から公開されている狩野永徳の《檜図》だけを見に行ってきました。
平成の修復が終わり、初めての公開ということで美術系のメディアにも取り上げられていたので、混まないうちに、またリーフレットがなくならないうちに、と言う隠れたテーマも有りましたからね。

この修復の大きな特徴は、汚れをとるとか、キズを、治すとか、そういうレベルではなく、八曲一隻(八枚のパネル(八扇)をに折りたためる一枚の屏風)に仕立てられていた屏風を四曲一双(パネル(四扇)四枚がつながった屏風が二組)に仕立て直すという大胆なもの。まぁ、言ってみれば、真ん中でぶちっと切って、二枚の(四面に区切られた)大きなパネルにしたような見せ方をしています。リーフレットの説明によればもともとは四面の襖仕立てだった=つまり平面で見る条件になっていた、という事なのです、それを途中で八曲にする事で、襖を縁取る部分なしに繋げてしまったので絵柄にずれが生じていた、という訳ですね。

確かに真ん中部分の大きなずれは、縁取りをする事で、その縁取り分の隙間分ずれがなくすっきり見えます。ただ、四曲の真ん中部分は同じく襖と襖の切れ目の筈で、そこのズレの部分が解消されていないみたいです。だから、遠目にみないと、ずれがなくなったと認識しづらい。それと・・・襖であれば、残ったズレの部分も襖の厚み部分があったりして多少立体的に見えるのでしょうが、ぜーんぶ横に平面的に展示してあるものだから、なんだか、豪胆さが消えてしまっているように思いました。ま、それは展示の仕方や、刷り込まれたイメージの問題ではありますが。
すりこまれたイメージというのは。。。屏風としてたてられていた姿のイメージが強く、何か立体感がなくなってしまった気がする。これは展示の仕方の問題なのかもしれないけど、以前立てられていた時は、大きなヒノキが前にせり出してくるような圧倒感が感じられた気がするのです。。。その意味では少し残念。
それと新たに張り替えられた裏面の新しく摺られた水色の唐紙、見てみたかった。。。という観点でも平面はつまらないのです。(ごめんなさい)
その裏面はわずかに残った雲母摺りの跡から、桐の文様(この屏風が伝えられた八条宮家に縁の深い五七桐文)を探りだしたそうです。八条宮家の別邸でもあった桂離宮の古書院の昭和の大修繕の際に型を起こし襖に唐紙を摺ったそうですが、その版木を使って新しい唐紙を作成したそうです。(詳しくは常設一階で分けてもらえるリーフレットにて。トーハクのサイトにもPDFがリンクされています。)

あ、勿論画面、特に金箔部分の染みが取り除かれて明るくなったりして、修理の効果は至るところにありますよね。
いずれにしても18か月の時間をかけて綺麗になって戻ってきたのだから、有難いとしましょう。そしてその財源をくれたンバンカメ・メリルリンチ文化財保護プロジェクトにも感謝ですね。
You Tubeにもトーハクが上げている修繕の記録映像がありました。

https://www.youtube.com/watch?v=TqaKiclMAlg&feature=youtu.be&list=UUi4kijTbqPOh1LPN2f0eQYg

国宝 《檜図屏風》会期:2015年2月17日(火) ~ 2015年3月15日(日)会場:東京国立博物館 本館2室 国宝室

0 件のコメント:

コメントを投稿