絵を見て、そこにあるべき音を想像するのは楽しいものです。くちばしを大きく開けてさえずる小鳥たちの声、龍虎が巻き起こす風や雲の轟音、また、山水画に表された雨風や瀧の音、そして、名所絵の群衆の賑わいなど、音を感じとることができる絵画作品は少なくありません。かつて、中国の文人たちは、部屋に横たわりながら胸中の山水に遊ぶことを「臥遊(がゆう)」と呼んで楽しみました。心を澄まして絵の中に入り込むことができれば、現代の私たちにも、きっとさまざまな音が聞こえてくるはずです。
絵の音を聴くことによって、その作品の新しい魅力を発見してみてはいかがでしょうか。
(美術館HPより)
いや、ひんやりした美術館に入るだけで、嬉しい今日この頃、お盆休みという事もあって、出足が悪くて本当に良かった。
いくら、解説で「臥楽」と言われても、中国の文人程心を澄ますことはできず、いつもは必ずと言っていいほど、関係ない話をべちゃくちゃおしゃべりしている人たちに気を取られて、集中できない私としては、静かな環境の中、聴こえてきましたよ。
コトリの囀り、鳴き声、風の音、川の流れ、雅楽の調べ、瀧の音・・・
特に気に入ったのは、最初の「鳥たちの楽園」 伝狩野元信作の大振りな六曲一双の《四季花鳥図屏風》には多くの鳥たちが自由に囀り、叫んでるのが好き。
およそ70羽が遊んでいるこの作品は、実は元信ではなく息子の松栄の作品である可能性が指摘されているそうですが、楽しげな鳥たちがイキイキしている限り、作者がどちらでも関係ないかー、と思わされますよね。
美術館的には目玉は基一の《夏秋渓流図屏風》だろうことはよくわかるけど、この色遣いは好きでないの、毒々しすぎて。だから軽やかな渓流の音には聞こえなかった。心模様が音にも影響しちゃうなぁ。
隣の雪舟による《龍虎図屏風》。右隻に龍、左隻に猫のような虎という構図はどこにでもあるようなパターンではあるけれど、虎の後でなびく竹の葉にびゅうびゅうという風の音が聞こえてきた。やはり絵に入り込む度合いというのが影響するのかな。
今度サントリーで特集される久隅守景の《舞楽図屏風》からも笙や龍笛の音が・・・
単眼鏡を使わないとよく見えないけど、全体のバランス、細かい描写が素晴らしいのが岩佐又兵衛の《傘張虚無僧図》。そのディテールの美しさに感嘆して音まで集中できなかったけどね。
瀧を見る文士を描いた式部輝忠筆の《観爆図》、上から落ちる三千尺の瀧を下から見上げる文士は四頭身か?というくらい頭は大きいのに、全体としては絶妙なバランスを保っているのが印象的です。
文人たちのような余裕はないけれど、ほんの少し、そんな愉しい時間が持てただけでよかった。
::::::
根津美術館は何時でも同時開催のテーマ展示がありますけど、今回の展示室6 の茶の湯関連の展示品はどれも逸品が多かったし、福島静子氏が寄贈された蒔絵の品々のコレクションも良かったな。。
コレクション展
絵の音を聴く
雨と風、鳥のさえずり、人の声
2015年7月30日(木)〜9月6日(日) 根津美術館
絵の音を聴くことによって、その作品の新しい魅力を発見してみてはいかがでしょうか。
(美術館HPより)
いや、ひんやりした美術館に入るだけで、嬉しい今日この頃、お盆休みという事もあって、出足が悪くて本当に良かった。
いくら、解説で「臥楽」と言われても、中国の文人程心を澄ますことはできず、いつもは必ずと言っていいほど、関係ない話をべちゃくちゃおしゃべりしている人たちに気を取られて、集中できない私としては、静かな環境の中、聴こえてきましたよ。
コトリの囀り、鳴き声、風の音、川の流れ、雅楽の調べ、瀧の音・・・
《四季花鳥図屏風》の一部、くわっつ、くわっていう鳴き声が聞こえてきましたよ。 |
特に気に入ったのは、最初の「鳥たちの楽園」 伝狩野元信作の大振りな六曲一双の《四季花鳥図屏風》には多くの鳥たちが自由に囀り、叫んでるのが好き。
およそ70羽が遊んでいるこの作品は、実は元信ではなく息子の松栄の作品である可能性が指摘されているそうですが、楽しげな鳥たちがイキイキしている限り、作者がどちらでも関係ないかー、と思わされますよね。
美術館的には目玉は基一の《夏秋渓流図屏風》だろうことはよくわかるけど、この色遣いは好きでないの、毒々しすぎて。だから軽やかな渓流の音には聞こえなかった。心模様が音にも影響しちゃうなぁ。
隣の雪舟による《龍虎図屏風》。右隻に龍、左隻に猫のような虎という構図はどこにでもあるようなパターンではあるけれど、虎の後でなびく竹の葉にびゅうびゅうという風の音が聞こえてきた。やはり絵に入り込む度合いというのが影響するのかな。
今度サントリーで特集される久隅守景の《舞楽図屏風》からも笙や龍笛の音が・・・
単眼鏡を使わないとよく見えないけど、全体のバランス、細かい描写が素晴らしいのが岩佐又兵衛の《傘張虚無僧図》。そのディテールの美しさに感嘆して音まで集中できなかったけどね。
瀧を見る文士を描いた式部輝忠筆の《観爆図》、上から落ちる三千尺の瀧を下から見上げる文士は四頭身か?というくらい頭は大きいのに、全体としては絶妙なバランスを保っているのが印象的です。
文人たちのような余裕はないけれど、ほんの少し、そんな愉しい時間が持てただけでよかった。
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根津美術館は何時でも同時開催のテーマ展示がありますけど、今回の展示室6 の茶の湯関連の展示品はどれも逸品が多かったし、福島静子氏が寄贈された蒔絵の品々のコレクションも良かったな。。
絵の音を聴く
雨と風、鳥のさえずり、人の声
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