美術にふるえたことがありますか?
美術を体験すること。
深く感動すること。
知的に考えること。
それらすべての出発である衝撃を「ぶるっ!」という言葉でひょうしました。
あらためて大切にしたいと思う美術鑑賞の原点です
。。。。。。。。。。
・・という解説から始まった約20分弱のミニレクチャー、図録、招待券一枚、音声ガイド、写真撮影OK(但し一点のみはNG)、しかも夜6時半から9時まで!というどんだけGenerousなんだ?という東京国立近代美術館(MOMAT)開館60周年記念展覧会「美術にぶるっ!」のブロガー向け夜間特別観覧会に行って来ましたー。(ツイッターとFBやってる人もブロガー扱いしてくれるので、行けたのです。サンキュ) 昨日のこと。今日は今日でトーハクの中国王朝の至宝展ーーこれも担当部長さんの解説のおかげで、面白さ100倍。。それはまた後日ご報告するとして。。。今日は美術にぶるっ!(ビックリマークは斜めってます。)
みどころは
1 所蔵品ギャラリーが10年ぶりにリニューアル
「近代美術の流れ」としていた常設展示を「MOMATコレクション」に改称し
①ハイライトコーナーと②日本画コーナーの誕生というより分離)、もっと展示室を細分化し
壁紙を一部紺色に、休憩コーナーはオレンジの床色にして(3階にあった資料コーナーを
名前を変えた「眺めのよい部屋」部分の導入部に移設
2 寄託作品を含む重要文化財13点(日本の重要文化財は全部で51点中)一挙に公開
3 1階(第二部)実験場 1950's展との連動(連続性)
時の流れは①MOMATコレクションの「戦争の世紀に1・2」(これも大きな部屋の一部だったものが独立してる)から②戦争が終わり、サンフランシスコ講和条約を日本が結び漸く日本が独立国としての自尊心を取り戻した1952年(そして、同年に近美=MOMATは開館)を含む50年代、戦争の傷跡・基地闘争などが混沌とした1950年代はジャンルの垣根を越え作家と鑑賞者が交流する「場」が存在した。
そこから革新的な表現がうまれた、との認識により実験場と名づけた「実験場1950s展」へ
そして更に時代は、60年代70年代となり再びMOMATコレクションの「疑うこと、信じること」へと続いていく。
しかし、近代美術館の役割は近代美術史の研究としてこの時代を単に回顧するのではなく「現代の文化や社会を批判的に考察し新しい価値創出に向けた問題提起を行うこと」、と位置づけ。
短いながらもコンパクトにまとまったミニレクチャーを聞かなかったら第二部との連携に篭めるキュレーター/主催者の思いと熱意を理解することは難しかったかもしれないので、本当に昨日の内覧会はレクチャーを聴いて更によかった!と思えるものでした。
コレクションの名品が一堂に会しながらも「名品展」ではない!と言い切るあたりも、そのリニューアルの成果を感じることに繋がってよかったなぁ。
絵の並べ併せ方の問題だけ。。かもしれないけれど、今までどうしても好きになれなかった原田直次郎の「騎龍観音」が、萬鉄五郎の「裸体美人」と隣り合わせになり、背景の壁紙の色が紺色になっただけで、以前とほぼ同じ位置にかかっているにもかかわらず、かなり魅力的に写ったわけで。。⇒
もともと好きな劉生の「切通之写生」の隣に、タッチは全く違うし対称的でもないのだけど、同じように下から上へのカーブを持つ絵がかけられたりしていて(作品名確認しわすれたー!泣)、絵を鑑賞することの楽しさを再確認できる展示の工夫が以前にも増してなされるようになったという感じ。⇒
未だにあのガラスのケースに入って展示されている屏風絵などの扱いが変わらないのは残念だけど、ガラスのケースから飛び出してきた絵たちの生き生きとしたこと!小倉遊亀の「欲女 その1」がこんなに大きな作品だったんだと再認識させられた
のも、日本画フロアを分離した・・・というか、再構成して一部は4階同様紺の壁紙の効果ー上村松園の「母子」とかねーが上がっている感じ。
改装を担当された方たちの思いが伝わってきましたよ。
思いの強さという意味では、第二部は咀嚼するには、置いてある資料も含め、相当な時間をかける必要があるのではないか?と思ってしまうけれど、「現代の文化や社会を批判的に考察し新しい価値創出に向けた問題提起を行うこと」を単純化していくと。。。
第一部の原爆の刻印ーーその被害が公にされたのはMOMAT開館の1952年
つまり7年もの間、真の被害状況を人々は知らされていなかったーー翻ってフクシマはどうなの?7年の歳月を要するのかという暗喩
・・同じく砂川事件
ーー場所を変えて基地への反対は今も続くー
現代への連続性?東山魁夷の道が東北の地に題材をとられたところ
からスタートし50年代の国土開発で失われていく東北地方の原風景への思い?
まっ、全く違うかもしれないけれど、こんなことを考える自由をあたえてくれるのも主催者の狙いかもしれないし、メッセージなのか?などと考えながら鑑賞していると
あっという間に9時に!
限られた鑑賞時間ではムリーと思ったわけですね。ま、時間がたっぷりあっても現代美術の解釈は難しいことが多いからね、それぞれのコーナーでもらった4枚の解説の紙を後でもう一度読んでから、出直してきます!
さて、そんな中でちょっと気になった(・・・というか初めてみて好きになった)・・・いやいや、昨日の内覧会一「ぶるっ!」と来た作品はコチラ。⇒
福沢一郎の「牛」 ピンク色の大地と穴のあいた牛(黒の模様。。。ではなく穴があいて空洞)。。
このなんともシュールな絵は「戦争の世紀に1」のコーナーにかかっていました。戦争への序章ともいうべき満州国の理想と現実のギャップを描いたんだそうな。。
いやいや、500点超という今回の展覧会、レクチャー始まる前は今日は二時間もあるから十分あると思うかもしれないけれど、メリハリつけないと時間が足りなくなりますよ、とご説明いただいた主任研究員の鈴木さんのウォーニング通り、ホント、時間がいくらあってもたりないくらいでした。
今まで何度も見ている好きな絵が多いし・・・と思っていたんだけどなぁー。
やっぱり展示の方法が変わるだけで、今まで気付かなかった魅力がまた新たに発見できる。。ホント美術鑑賞ってつきることはないよなー。。。
もう一度行きます、絶対。 12月1日も開館60周年で入れるようだし、あと2回みようかな。。
2012年10月16日~2013年1月14日@東京国立近代美術館 「美術にぶるっ!」ーベストセレクション 日本近代美術の100年
最後のおまけ:その新たな発見。。
頭の上にバッタなんかのってましたっけ?ゴームリーの「反映」って。。
(次に行ったときにヤッパリ、バッタは乗ってなかった。。。。)
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