2014年7月22日火曜日

今年も伊藤若冲の名宝展をじっくり鑑賞させて戴きましたよ@相國寺承天閣美術館


タイトルに、今年もと書いておきながら、去年の感想文が書ききれてないことに気づく私。あはっ。
去年も7月にこちらで開催されていた「伊藤若冲の名品展」(今年は名宝、去年は名品、この違いは何かな?)を見に来て、初めて見る鹿苑寺(金閣寺)大書院旧障壁画の迫力に圧倒され、思わずポストカード全10枚を購入してしまったのでした。感想文書くためにね。なーのーにー。書いてない!
なので、兎に角今年は何としてでも書かないと!

その後、常設展示である「月夜芭蕉図床貼付」と、「葡萄小禽図床貼付」をこれも書いてない「開館30周年記念丸山応挙展」の時に拝んだので、今度で三度目の出会いとなるのですが、床の間の壁に描かれた二作には本当に圧倒されます。これは写真では伝わりきらないんだけど、三面を使った大胆な構図の「月夜芭蕉図」にしても、床の間の違い棚の奥まで展開され、実は対角線上の襖絵に描かれた小禽と、違い棚脇の壁に描かれた小禽が、対になるように空間を立体的に捉え、かつ情趣を加えた意欲的な作品は見れば見るほど引き込まれます。

相国寺の禅の思想に触れ在家のまま仏道修行を行う「居士」だった若沖。「維摩経」にある、悟りを得ていない人間の儚さを例えて「是の身は芭蕉の如し」という形容があり、大きな葉が風に吹き破られて哀感を誘うことから、江戸時代には、芭蕉は「庭忌草」とされ、関西では、寺院にしか植わってなかったとか。
美術館前の庭に植わっているこれは芭蕉?

若沖の生家のある錦小路
辺りには無かったということですよね。でも、若沖は好んでと、いうくらいその外隈描法をいかんなく発揮してますよね。この、「月夜芭蕉図」は、その頂点にあるのではないか、というくらい素晴らしい作品だと思います。解説によれば、若沖の師であった梅荘顕彰常が、この「維摩経」に基き、自ら「大典蕉中」と、号していたことから、芭蕉を画題に選び、芭蕉が人間の仮託であるなら、差し込んできた月光を仏の知恵や慈悲の象徴の光明と解し得るとした若沖の意欲作とのこと。 ま、私には大胆な構図、モノクロなのに、月の柔らかい光を感じる三面を使った立体的な表現ということが、印象の中心であるだけなんですけどね。
さて、今回は、この床の間だけではなく、大書院を取り囲む襖絵が、飾られているのです。去年は無造作に描かれた竹の丸い節が心を捉えましたが、今年は、芭蕉繋がりで、芭蕉叭叭鳥図襖絵襖が、気になりました。
で、去年は見られなかったと思う<釈迦如来像・文殊菩薩像・普賢菩薩像>の巨大な軸に接することが出来まして。その大きさを堪能するため、床の絨毯に座り拝みあげました。
そんなこと、何処にも書いてないから私だけの印象では、あんなに微細に鳥とか虫とか、描く若沖も人はなんか詳細すぎる故の硬さがあって、必ずしも巧いという印象のない私ですが、この菩薩に限っては、その硬さが、うまく神々しさに結びついているような気がしました。

後ね、去年の記憶には、ないんだけど、第一室にあった《山水図》、解説は無かったんだけど、大胆な筆致の墨で描かれた滝と、その滝が流れてくる先に、寺の方丈のような建物の屋根、塔のようなものが屹立している感じとか、画面に少し左寄りの少ない情報だけで、色々な想像が出来てしまうの。素晴らしいなぁ。
その隣にあった《牡丹百合図》はまだ若い時期の作品ながら、その表現が、動植綵絵でのものに近く、近年発見されて以来注目されてるとか。去年もあったように思うけど、改めて虻もか、蝸牛のイキイキした表現力に目がとまりますね。
若沖からは、離れてしまうけど、この第一室に二枚の《百猿図》があったのです。一枚の方は丸に棒のような猿ー良く見るタイプ。
もう一枚は毛並みふさふさの猿たちー良く見ると一匹一匹の表情が違う♪
あ、森狙仙だ♪なるほどね。やはり彼の猿の表現は素晴らしいなぁ~。
素晴らしいと、言えば、この部屋に入った処に展示してある《翡翠細工花入》、トーハクほどのLED照明もあたってないのに、白菜に遜色ないほどの精巧な作りと美しいグラデーションの翡翠の色、花瓶にまとわりつくような、龍の鬚の細かさ、白菜同様薄い作りのこの作品は、いつまでもじっくり鑑賞できます。
さて、その生涯は、師と仰いだ利休同様、為政者によって切腹で幕を引くことになったものの、焼き物でその名を永遠に残した古田織部!今年はその織部の没後400年、と言う事で、第二室には織部焼の小特集が組まれてました。釉薬の色調により、織部黒、黒織部、青織部、赤織部、志野織部があるんですって、しらなんだ。一番目にする緑色のが青織部という訳ですが、実際に、溜まった釉薬が青の器があったのが面白かった。そして、黒織部と織部黒に違いがあるとは!
ここには書いてなかったけど、沓形だけど、全面的に黒釉で、覆われているのが織部黒で、織部独特の優れたデザインをいかんなく発揮した窓絵といわれる文様があるのが、黒織部なんだそうで、形はこちらも、沓形が多いのだそう。勉強のきっかけになり、ありがたいことてす。

まだ9月迄やっているので、京都に行かれたら是非!

伊藤若沖の名宝展
相国寺天承閣美術館
2014年6月15日(日)~9月23日(火) 会期中無休


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